いったい、何が?
ウィルコ・ジョンソン時代のラスト・アルバム。
オススメ度:★★★☆
オリジナル・リリース:1977年5月
デビューから三枚の絶品アルバム立て続けに発表し
着実に人気を上げてきたドクター・フィールグッドだけど、
この四作目のアルバムにして、
ギターリストのウィルコ・ジョンソンが最後となってしまった・・・(涙)
実は、おいらは買ったばかりの頃、このアルバムが好きじゃなかった。
ここには前3作のようなキレがまったく無かったのだ。
ギターの音色もペンペンになってしまい、ダビングも多用。
ギターだけではない。ベース、ドラムもキレがない。
ヴォーカル、リー・ブリロー頑張るもバンドとしてのノリがない。
スライド・ギターも妙にメロディアスで攻撃性に欠ける。
メンバーは変わらないのに、このサウンドの変化はなんなのだ。
ウィルコの最後といったゴタゴタの前知識も無かった当時のおいらには
「なんじゃこりゃ?」だった。
いったい、何があったのか。
どうも、突然の人気の盛り上がりにウイルコが相当ナーバスになったのだとか。
前作ライヴ・アルバム「STUPIDITY」が売れに売れちゃって、注目度がグググ~ンとあがり、
ウィルコを除く三人もアルコールが離せないようになっていたとか。
そして、ホンの些細なメンバー間での意見の違いでも
口論となってしまうような険悪なバンドの状態だったらしい。
そして信じられない事に、ウイルコ・ジョンソンはこのアルバム発売前に
なんと・・・クビが言い渡される。
その直接の原因となったのが、
ドクター・フィールグッドと縁の深いルー・ルイスのカバー[6]。
この曲をカバーする/しないで喧嘩別れとなったらしいが、
それはホンのキッカケのひとつに過ぎないでしょう。
個人的にはこう考える・・・
よりコマーシャルなサウンドを目指し要求するリー。
コマーシャルに魅力を感じつつも変わらない(変われない)ウイルコ。
双方の間には当然、溝ができる。
他の2人(スパーコ、ビッグ・フィギュア)も残ったところを見ると、
3対1の状況だったか?
それでもイギリスで頂点に立ち、次はアメリカでの人気獲得を狙って、
プロデューサーにバート・ドゥ・コトゥーをたてるものの、
それぞれが目指すサウンドがバラバラのままだから、
なんとも中途半端で平凡なアルバムになってしまった。
あまりの忙しさで曲作る暇も無かったウィルコのオリジナルも5曲と少ない。
他のメンバーが酒盛りしてる間、ったくザケンじゃねぇーーーとか思いながらも、
ウィルコも愛妻アイリーンを歌った[2]をはじめ、
[1],[9]などそれなりに頑張ってると思うけど、
正直さえない曲もあって、
これまでのアルバムと比べてしまうとどうにも物足りない。
また、問題のルー・ルイス曲[6]も、
やけにホンワカした仕上げ。
本家ルー・ルイスは、自身のアルバム『 SAVE THE WAIL 』で
スピード感たっぷりにカッチョよく仕上げてたのに。
ウィルコ・ジョンソンのギター・スタイルもこれまでの直球1本から、
微妙に変化球を交えて、そのスタイルに変化が感じられるし、
アルバムでも何本かギターを重ねて録音。
それによって独特の個性が薄まってしまった感じなのだ。
このアルバムでは切れ味鋭いスピード感も
心地よく腰にシビレるビート感も薄まって
なにより四人によるカタマリ感がまるで無いのだ。
そんなこんなでウィルコはアレのキメすぎで、
ライヴもまともに出来ないような状態へと悪化。
リー・ブリローもバンドの危機的状態に覚悟をきめる。
ウィルコ・ジョンソンというギタリストを切り、
本来のパブでのライヴ活動に焦点を戻して
ドクター・フィールグッドを存続することを選択。
てなわけでバンドは新ギタリスト、ジッピー・メイヨを加えて、活動を継続。
そして、その後二度とリー・ブリローとウィルコ・ジョンソンが
活動を共にすることは無かった。
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SNEAKIN' SUSPICION / DR.FEELGOOD [1] Sneakin' Suspicion [2] Paradise [3] Nothin' Shakin' (But The Leaves On The Trees) [4] Time And The Devil [5] Lights Out [6] Lucky Seven [7] All My Love [8] You'll Be Mine [9] Walking On The Edge [10] Hey Mama, Keep Your Big Mouth Shut CREDIT: Original release: May 1977 Produced by Bert de Coteaux Lee Brilleaux: Vocals, Harmonica, Slide Guitar Wilko Johnson: Guitar, Vocals John B. Sparks: Bass, Vocals The Big Figure: Drums, Percussion, Vocals |
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[5] Lights Out 「ガンボ・ヤ・ヤ・ヤァ!」 Amazonで詳細を見る! >> これはシブい!Jerry Byrneのカバー。 おいらはこの編集盤でチェック。 本家はいかにもなニュー・オーリンズ系ユル味ロッキン・ビート。 |
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[6] Lucky Seven 「SAVE THE WAIL」 DR. FEELGOODへの提供曲を、自身のアルバムに収録。 ハッキリ言って、これはLEW LEWIS自演バージョンの勝ち! スピード感が違います。 |
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